レクリエーション介護士は本当に無駄?費用対効果を徹底検証

レクリエーション介護士の資格取得を検討しているものの、「無駄」という声も聞こえてきて悩んでいる方も多いでしょう。

2014年に誕生したこの比較的新しい資格ですが、実際のところはどうなのか。本記事では、批判的な意見から実際の価値まで、客観的な視点で徹底検証していきます。

目次

無駄と言われる3つの理由

まずは、なぜレクリエーション介護士が「無駄」と言われるのか、その理由を整理してみましょう。

給与アップに直結しない現実

最も大きな理由が、資格取得が給与に反映されにくいことでしょう。

介護職員初任者研修や介護福祉士といった公的資格と比べて、民間資格であるレクリエーション介護士は資格手当の対象になることがほとんどありません。介護業界の給与体系では、基本的に公的資格の有無で待遇が決まるためです。

たとえば介護福祉士なら月額1〜3万円の資格手当が付くケースが多い一方で、レクリエーション介護士の場合は「評価はしてもらえるが給与には反映されない」という状況が一般的。

せっかく時間とお金をかけて取得しても、すぐに目に見える形でのリターンが期待できないのが現状です。

知名度の低さが転職に影響

2つ目の理由として、知名度の低さが転職活動でのアピール力を限定的にしている点が挙げられます。

2014年に誕生したばかりの資格のため、採用担当者がその価値を正しく理解していないケースも少なくありません。特に介護施設の経営陣や人事担当者が高齢である場合、新しい資格に対する理解や評価が低い傾向があります。

結果として、履歴書に記載しても「それって何の資格?」と聞かれることもあり、転職での優位性を発揮しにくい状況となっています。

取得費用と効果のバランス

3つ目の理由は、取得にかかるコストと得られる効果のバランスの問題です。

資格レベル取得費用学習期間
2級約35,000円2〜3ヶ月
1級約91,300円4〜6ヶ月

これだけの費用をかけても、前述のように給与アップや転職での明確な優位性が期待できないとなると、「費用対効果が悪い」と感じる人が多いのも理解できます。

特に1級になると10万円近い費用がかかるため、その投資に見合う価値があるのか疑問視する声も上がっています。

実際に得られる価値

一方で、「無駄」という声ばかりではありません。実際に取得した人が感じている価値についても見ていきましょう。

レクの質向上で現場評価アップ

資格取得によって、レクリエーションの企画・実施能力が確実に向上するのは間違いありません。

これまで「なんとなく」「思いつき」で行っていたレクリエーションが、体系的な知識に基づいて実施できるようになります。高齢者の身体機能や認知機能に配慮した安全で効果的なプログラムを組めるようになるため、利用者からの評価も高まります。

現場の同僚や上司からも「レクリエーションが上手になった」「利用者の反応が良くなった」といった評価を受けることが多く、職場での存在価値が向上する効果は確実にあります。

コミュニケーション力の向上

レクリエーション介護士の講座では、レクの技術だけでなく高齢者とのコミュニケーション方法についても体系的に学べます

声のかけ方、話の聞き方、グループをまとめる技術など、これらのスキルはレクリエーション以外の日常的な介護業務でも活用できるものばかり。

結果として、利用者との関係構築がスムーズになり、介護業務全体の質が向上することにつながります。

デイサービスでは重宝される

施設の種類によっては、レクリエーション介護士の価値が高く評価されるケースもあります。

特にデイサービスや通所介護施設では、レクリエーションが利用者満足度に直結するため、専門知識を持った職員は重宝されます。一部の施設では、資格手当こそ付かないものの、レクリエーション担当として責任のある役割を任されることもあります。

また、有料老人ホームなど利用者のQOL向上を重視する施設でも、同様に評価される傾向があります。

介護業界でのキャリアの幅拡大

長期的な視点で見ると、介護業界でのキャリアの選択肢が広がる効果も期待できます。

今後、高齢化がさらに進む中で、利用者の生活の質向上への関心は高まっていくでしょう。そうした流れの中で、レクリエーションの専門知識を持った人材の需要は確実に増加していくと考えられます。

また、将来的に介護レクリエーションの指導者や研修講師といった道も開ける可能性があります。

取得すべき人の特徴

これまでの内容を踏まえて、どのような人がレクリエーション介護士の取得を検討すべきなのでしょうか。

レク業務に苦手意識がある人

現在レクリエーションを担当していて、苦手意識や不安を感じている人には特におすすめです。

「何をやったら良いかわからない」「毎回同じような内容になってしまう」「利用者の反応が良くない」といった悩みを抱えている場合、体系的な知識を身につけることで確実に改善できます。

自信を持ってレクリエーションに取り組めるようになり、業務のストレスも軽減されるでしょう。

既に基礎資格を持つ人

介護職員初任者研修や実務者研修などの基礎資格を既に取得している人にとっては、プラスアルファのスキルとして価値があります。

基礎的な介護知識があることで、レクリエーション介護士の内容もより深く理解できますし、現場での活用度も高まります。

ただし、まだ基礎資格を持っていない場合は、そちらを優先して取得することをおすすめします。

趣味や特技を活かしたい人

音楽、手工芸、スポーツなど、何らかの趣味や特技を持っている人にとっても有効な資格です。

自分の得意分野を高齢者向けのレクリエーションとして活用する方法を学べるため、より充実感を持って仕事に取り組めるようになります。

利用者にとっても、職員の専門性を活かしたレクリエーションは新鮮で魅力的に映るでしょう。

長期的なスキルアップ志向

すぐに給与アップを期待するのではなく、長期的な視点でスキルアップを考えている人に適した資格です。

介護業界でのキャリアを長く考えている場合、レクリエーションの専門知識は必ず役に立つ場面がやってきます。特に管理職を目指している人にとっては、職員のスキル向上や施設の魅力向上に貢献できる知識として活用できるでしょう。


レクリエーション介護士が「無駄」かどうかは、取得する人の状況や目的によって大きく左右されるというのが結論です。

短期的な給与アップを期待している人には向いていませんが、長期的な視点でスキルアップを図りたい人や、現在レクリエーション業務に携わっている人にとっては確実に価値のある資格と言えるでしょう。

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