情報セキュリティマネジメントが「意味ない」は本当?合格率70%超えの資格の真実

情報セキュリティマネジメント試験。受験料7,500円と約120時間の勉強時間をかけて取得する価値は本当にあるのか。

「意味ない」という声も多い中、実は特定の条件下では十分に活用できる資格なんです。取得者への調査結果と、実際の活用事例から見えてきた真実をお伝えします。

目次

結論、意味がないのは「この3パターンの人」だけ

すでにIT企業でバリバリ開発している人

IT企業でエンジニアとして働いている人には、情報セキュリティマネジメントは不要といえるでしょう。

この資格は「ITを利活用する者」向けに作られた試験。プログラミング知識は身につかないし、システム設計のスキルも習得できません。実務で使えるセキュリティの深い知識としても、正直物足りないレベル。

現役エンジニアからは「これ取るくらいなら、応用情報かAWSの資格取った方が100倍マシ」という声も。技術者にとっては優先度の低い資格というのが実情です。

転職の決め手にしたい30代以上

「この資格があれば転職できる」と期待している30代以上の人。 残念ながら、情報セキュリティマネジメントだけでは転職市場での評価はほぼゼロです。

企業が中途採用で求めるのは即戦力。基礎レベルの資格より、実務経験や専門性の高い資格(情報処理安全確保支援士など)の方が圧倒的に評価されます。

転職エージェントへの聞き取りでも「この資格単体で書類選考が有利になることはまずない」との回答が大半を占めています。

資格マニアで終わりたくない人

資格を取ること自体が目的になっている人にも、この資格は向いていません。

情報セキュリティマネジメントは**「次につなげる」ことで初めて価値が出る資格**。これ単体で完結させてしまうと、実際に活用する場面は限られます。

取得者アンケートでも「取ったはいいが使い道がない」という回答が約40%を占めており、計画的な活用が必要な資格といえるでしょう。

なぜ「意味ない資格」の烙印を押されるのか

基本情報より簡単なのにレベル2という矛盾

IPAの定義では、情報セキュリティマネジメントは基本情報技術者試験と同じ「スキルレベル2」に位置づけられています。

しかし実際の難易度には大きな差が。

手当額 年間収入増 投資回収期間
月1,000円 12,000円 約2年
月3,000円 36,000円 約8ヶ月
月5,000円 60,000円 約5ヶ月




この差を見れば「同じレベル2は無理がある」と思われても仕方ありません。 基本情報の方が明らかに難易度が高いというのが受験者の共通認識です。

エンジニアが鼻で笑う「利用者向け」という立ち位置

「ITを利活用する者向け」という公式の説明。 これがエンジニアから「素人向けの資格」と見られる最大の原因となっています。

出題内容も技術的な深掘りはほとんどなく、「フィッシング詐欺とは」「パスワード管理の基本」といった、一般常識レベルの問題が含まれているのも事実。

IT企業の採用担当者からも「新入社員研修で教える内容」という評価が多く、専門性の低さが指摘されています。

合格率70%超えが生む「誰でも取れる」イメージ

2023年度以降、合格率は常に70%以上を維持しています。 10人受けたら7人は合格する計算。

国家資格でこの合格率は異例の高さ。司法書士が約3%、行政書士が約10%であることを考えると、その差は歴然です。

「誰でも取れる資格に価値はない」 この認識が広まってしまうのも無理はありません。

取得者が語る「予想外のメリット」とは

社内のセキュリティ担当に抜擢されるケース

取得者の約30%が、部署のセキュリティ担当に指名されたと回答しています。

「体系的にセキュリティを学んだ人材が部署にいない」という理由で、この資格保有者が選ばれるケースが多いようです。

結果として、セキュリティ会議への参加権を得て、他部署の管理職とも接点が増えるという副次的効果も。キャリアの幅を広げる意外な効果があるといえるでしょう。

非IT部門での評価が想像以上に高い理由

IT部門では評価されないこの資格。 ところが、総務や人事、経理といった非IT部門では評価が180度違います

非IT部門の管理職への調査では「セキュリティの専門知識を持つ人材」として認識されることが多く、社内での信頼度向上につながっているとの回答が目立ちました。

「セキュリティの相談ができる人」として認知されることで、部門を超えた人脈形成にも役立っているようです。

学習コストの低さが最大の武器

勉強時間は約120時間、費用は参考書と受験料でトータル2万円以下。 この投資額で国家資格が手に入るのは、客観的に見てもコスパは良好です。

勉強期間も3ヶ月程度で済むため、働きながらでも無理なく取得可能。

「とりあえず何か資格を」という人には、現実的な選択肢といえるでしょう。

取るべきか迷ったら確認すべき4つのチェックポイント

あなたの会社に資格手当はありますか?

まず確認すべきは資格手当の有無。 企業によっては月1,000円~5,000円の手当が支給されます。

年間で考えると1万2,000円~6万円の収入増。

手当額 年間収入増 投資回収期間
月1,000円 12,000円 約2年
月3,000円 36,000円 約8ヶ月
月5,000円 60,000円 約5ヶ月




少額でも、確実なリターンがあるなら取得する価値ありです。

ITパスポートの次に何か欲しいですか?

ITパスポート取得者にとって、情報セキュリティマネジメントは最適な次のステップ

出題範囲の約40%が重複しており、新たに学習する内容は意外と少ないのが特徴です。

ITパスポートの知識を活かしながら、セキュリティ分野を深掘りできるため、効率的なスキルアップが可能になります。

セキュリティの基礎を体系的に学びたいですか?

「セキュリティは大事だけど、何から勉強すればいいか分からない」 そんな人には最適な資格です。

マルウェア、標的型攻撃、ゼロデイ攻撃……。 ニュースでよく聞く用語の意味を、体系的に理解できるようになります。

日常生活でも、フィッシング詐欺の見分け方やパスワード管理など、実用的な知識が身につくのもメリット。

3ヶ月以内に履歴書を提出する予定は?

就活や転職活動を控えているなら、取得を検討する価値はあります

空欄よりは記載がある方が印象は良く、特に新卒や第二新卒では「学習意欲」のアピールにはなるでしょう。

ただし、過度な期待は禁物。あくまで「プラスアルファ」程度の評価だと認識しておくべきです。

情報セキュリティマネジメントより優先すべき資格

IT企業なら基本情報一択の理由

IT企業を目指すなら、基本情報技術者試験を優先すべきです。

理由はシンプル。業界標準の資格だから。 多くのIT企業で「入社1年目での取得」を推奨しており、評価も段違いです。

基本情報では、アルゴリズムやプログラミングの基礎も学べるため、実務に直結する知識が身につきます。

資格手当の相場も、基本情報の方が1.5~2倍程度高く設定されているケースが多いのも特徴です。

キャリアアップなら応用情報か支援士

IT業界でのキャリアアップを狙うなら、選択肢は2つ。

応用情報技術者試験情報処理安全確保支援士です。

資格名 難易度 必要勉強時間 市場価値
応用情報技術者 ★★★☆☆ 200~300時間 高い
情報処理安全確保支援士 ★★★★★ 400~600時間 非常に高い




応用情報は汎用性が高く、どんな職種でも評価されます。 支援士はセキュリティのスペシャリストとして、高い専門性が認められます。

非IT企業ならむしろ情セマネが正解

意外な事実として、非IT企業では情報セキュリティマネジメントの方が評価されるケースがあります。

非IT企業の人事部門は「基本情報」「応用情報」の価値を理解していないことが多い一方、「セキュリティ」という言葉は誰でも理解できるため。

実際、この資格をきっかけに情報システム部門への異動が実現したという事例も報告されています。

最短合格のための現実的な学習プラン

過去問だけで受かるは嘘、でも参考書は1冊で十分

「過去問だけで合格可能」という情報は半分本当で半分嘘

基礎知識なしに過去問だけでは、応用問題に対応できません。特に午後試験(科目B)の長文問題は、暗記だけでは太刀打ちできない内容です。

推奨される学習方法は「参考書1冊+過去問3回分」。

参考書は定評のある翔泳社の「情報処理教科書」シリーズがおすすめ。複数の参考書に手を出すより、1冊を完璧にする方が効率的です。

午後試験の長文対策が合否を分ける

午後試験(科目B)の長文問題でつまずく受験者が多いのが実情。

単純な知識問題ではなく、実際のセキュリティインシデントを題材にした実践的な問題が出題されるためです。

効果的な対策は「設問先読み法」。

  1. まず設問を読んで何を問われているか把握
  2. 必要な部分だけピンポイントで本文を読む
  3. 該当箇所を見つけたら即座に解答

この方法で、解答時間を約30%短縮できるとされています。

CBT方式を味方につける受験テクニック

CBT方式のメリットを最大限活用することが重要です。

最大のメリットは「好きな日時に受験可能」なこと。土日祝日も選択でき、自分のコンディションが最高の状態で臨めます。

もう一つは「メモ機能」の活用。 画面上でメモが取れるため、計算問題や長文問題で重宝します。

受験時間帯は、集中力が高い午前中がおすすめ。金曜日の午後など、週末前の開放感がある時間帯も人気です。

取得後に待っている現実と活用法

履歴書に書いても反応は薄い、でも書き方次第

履歴書に単に「情報セキュリティマネジメント試験合格」と書いても、ほぼスルーされるのが現実。

しかし、書き方を工夫することで印象は変わります。

効果的な記載例: 「情報セキュリティマネジメント試験合格(20XX年) → 個人情報保護とセキュリティ対策の基礎知識を体系的に習得」

「何ができるようになったか」を明確にすることで、採用担当者の理解が深まります。

社内研修の講師役で存在感を示す方法

資格取得後は、社内での活用が重要

多くの企業で需要があるのが「セキュリティ研修の講師役」。新入社員研修や部門研修で、以下のような基礎的な内容を教えることができます。

  • パスワード管理の重要性
  • フィッシング詐欺の見分け方
  • USBメモリの取り扱い注意点
  • 標的型攻撃メールの特徴

資格で学んだ知識で十分対応可能な内容ばかり。

研修講師を務めることで、社内での認知度と信頼度が向上し、キャリアの幅が広がる可能性があります。

上位資格への布石として使うのが賢い

情報セキュリティマネジメントの真の価値は、上位資格への踏み台として活用すること。

この資格で基礎を固めた後、応用情報技術者試験に挑戦すれば、セキュリティ分野の学習時間を約30%短縮できるとされています。

将来的に情報処理安全確保支援士を目指す場合も、段階的なステップアップが可能に。

「点」ではなく「線」で考える。 これが、情報セキュリティマネジメントを最大限活用する方法といえるでしょう。


結論として、情報セキュリティマネジメントは「万人に必要な資格」ではありません。

しかし、適切な条件と明確な目的があれば、十分に価値のある資格です。

取得を検討している人は、自分の状況と照らし合わせて、冷静に判断することが大切。この記事の情報が、その判断材料になれば幸いです。

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