合格率が低いと聞くと「難関試験」に思えますよね。
でも、数字だけでは測れない事情が基本情報技術者試験にはあります。本稿では、受験を検討されている方に向けて、そのカラクリと学習のヒントを紹介します!
基本情報技術者試験とは?
ITエンジニアの登竜門と言われる理由

基本情報技術者試験は、「IT業界のスタートラインに立つための資格」といわれています。これに合格することで、プログラミングからネットワーク、データベース、セキュリティに至るまで、エンジニアとして最低限知っておくべき領域をひと通り学習した証明になるからです。
たとえば、システム開発に携わる人材は、言語の知識だけでは不十分。
ネットワークの仕組みやセキュリティのリスクを理解していないと、業務でつまずいてしまいます。
そうした基礎力を問うのがこの試験の役割。
つまり「登竜門」と呼ばれるのは、知識の幅と土台を固めるために避けて通れない存在だからなんですね。
試験の位置づけと対象者
基本情報技術者試験は、IPA(情報処理推進機構)が実施する国家試験の一つ。
レベルでいえば、入門的なITパスポートと、応用力を問う応用情報技術者試験の間に位置づけられています。
受験者の層は幅広く、
- ITエンジニアを目指す大学生や専門学校生
- 新人研修で受験を課される社会人
- 転職やキャリアアップを狙う異業種からの挑戦者
など多岐にわたります。
実際に毎年10万人以上が受験し、受験者数では情報処理試験の中でもトップクラス。
「まずはこれを取ってから」と目標にされやすい資格だからこそ、注目度も高いんです。
合格率が低いとされる実態
直近の合格率の推移
IPAの公式発表によると、基本情報技術者試験の合格率はおおむね20〜30%台前半を行き来しています。
つまり、受験者の約7〜8割が不合格になっている計算。
もちろん年度や試験方式によって上下はあります。
たとえば2022年度は春が約23%、秋が約28%。2023年度は春が約27%、秋が約25%といった具合です。
こうしてみると「思ったより合格率が低い」と驚く人も多いはず。
数字だけを見ると難関試験に見えますが、背景には受験者の属性や勉強時間の不足といった要因も潜んでいます。
他の情報処理試験との比較
合格率を他の試験と並べて比較すると、その位置づけがはっきりします。
- ITパスポート:およそ50%前後で、基礎知識を確認するレベル。
- 基本情報技術者:20〜30%で、幅広い知識と応用力が必要。
- 応用情報技術者:20%前後で、実務に直結する応用力を測る。
こうしてみると、基本情報は「入門の次のステップ」であり、簡単すぎず、かといって超難関でもない中級試験。
ただし出題範囲が広いため、実感としては応用情報よりも難しいと感じる人も少なくないのが特徴です。
合格率が低いと感じる5つの理由
出題範囲が広すぎる
基本情報技術者試験は、ITに関する知識を幅広くカバーしています。
ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、マネジメント、法務、セキュリティ…。
専門分野だけでなく、経営戦略やプロジェクト管理まで問われるんです。
そのため、学習範囲が広大で、「どこから手を付ければいいのか分からない」という状況になりやすいのが最大の特徴。
一つ一つの出題範囲はそれほど深掘りされませんが、浅く広く知識を網羅する必要があるため、計画的な勉強が欠かせません。
数学的知識・アルゴリズムにハードルがある
もう一つ大きな壁は、アルゴリズムや計算問題。
情報系の学部出身者であれば馴染みがありますが、文系出身や未経験者にとっては大きな難所です。
特に「ソートや探索アルゴリズム」「オートマトン」「離散数学」などは聞き慣れない用語も多く、最初は取っつきにくいもの。
ただし、頻出パターンを覚えてしまえば得点源に変えられます。
「理解してから暗記」ではなく「まず暗記して慣れる」ことが突破口になる分野なんです。
午後試験の読解力と応用力の難易度
午前試験が知識の確認なら、午後試験は実務を想定した応用問題。
ここで多くの受験者が苦戦します。
たとえば、システム開発の事例やセキュリティ事故のシナリオを長文で読ませ、その上で設問に答える形式。
必要なのは単なる知識ではなく、文章を素早く理解し、正確に読み取る力です。
さらに時間配分もシビア。
「途中で焦って最後まで解けなかった」という失敗談は後を絶ちません。
午後試験は合格を左右する最大の壁だといえます。
受験者層の背景(学生・社会人・未経験者)
合格率が低く見える理由の一つが、受験者層の幅広さ。
大学や専門学校の学生、新入社員、異業種からの転職組などが一斉に受けます。
その中には、「学校や会社に言われたから受けるだけ」という層も含まれます。
準備不足のまま試験に挑む人が多いほど、合格率は下がりますよね。
つまり、合格率の低さは必ずしも「試験が難しすぎる」だけでなく、受験者のモチベーションや準備状況の差によるところも大きいのです。
勉強時間の不足・計画の甘さ
基本情報技術者試験は、想像以上に学習時間を要します。
一般的には100〜150時間程度が目安と言われますが、多忙な社会人や学生にとって、この時間を確保するのは容易ではありません。
しかも「午前は過去問で何とかなる」と油断し、午後対策を軽視する人が多いのも落とし穴。
計画性がないまま学習を進めると、知識が断片的になり、午後試験で点数を伸ばせないんです。
合格率の数字だけでは語れない真実
母集団のレベル差による「低く見える」現象
合格率が低いのは、試験そのものの難易度だけではありません。
実際には、受験者層があまりに幅広いため、結果として数字が下がっているという事情もあります。
たとえば、ITの知識がまったくない学生や、研修の一環で強制的に受験させられた社会人も混ざっている。
その結果、勉強時間ゼロで受験する層が一定数存在するわけです。
そうした人たちが不合格になることで、合格率全体が引き下げられる。
これも「低く見える」一因です。
合格率=難易度の高さとは限らない理由
試験の合格率は、必ずしも難易度の絶対的な指標ではありません。
国家試験では、合格者数をある程度調整しているケースもあるんです。
つまり「合格率が20%だから極めて難しい」という単純な話ではなく、試験制度そのものの仕組みが数字に影響している可能性もある。
実際、過去問をきちんと対策した人は安定して合格しており、努力次第で十分に突破可能な試験だといえます。
合格率に惑わされないための学習戦略
午前試験の効率的な対策方法
午前試験は、過去問対策がもっとも効果的。
なぜなら、出題の多くが過去問の焼き直しだからです。
無料で利用できる「過去問道場」などを使えば、通勤時間やスキマ時間でも学習可能。
繰り返し解くことで問題のパターンが頭に入り、得点源に変えられます。
ここをしっかり固めるだけで、合格へのハードルがぐっと下がります。
午後試験の攻略ポイント
午後試験は選択式ですが、どの分野を解くかを見極める力が重要。
得意な分野に絞って深く対策すれば、効率的に点を稼げます。
また、本番同様に時間を計りながら演習することも不可欠。
長文を読むスピードと解答の正確さを高めるには、模試形式での練習が最短ルートです。
独学とスクール・通信講座の違い
独学はコストを抑えつつ、自分のペースで進められるのが魅力。
ただし途中で挫折しやすく、理解が浅くなるリスクもあります。
一方で、通信講座やスクールはカリキュラムや質問サポートが整っているため、短期間での合格を狙いやすいのが強み。
特に午後試験に不安がある人は、体系立てて学べる環境を利用するのが有効です。
まとめ
合格率に振り回されない学習の心構え
合格率が低くても、恐れる必要はありません。
大切なのは「他の人が何割受かっているか」ではなく、自分が合格できる準備を整えられるかどうかです。
数字に気を取られて諦めるのではなく、試験の特徴を理解した上で対策すれば、十分突破可能な試験です。
「合格できる人」が実践している共通習慣
合格者に共通しているのは、学習を習慣化していることです。
- 過去問を繰り返し解いてパターンを定着させる
- 午後試験を軽視せず、演習を積み重ねる
- 学習スケジュールを守り、少しずつでも継続する
- 本番を意識した時間配分で解答を練習する
これらを実践している人は、合格率の数字に関係なく合格を掴み取っているんですね。