インテリア業界で働きたいと思っているけれど、インテリアコーディネーターとインテリアプランナー、いったいどっちを選べばいいの? そんな疑問を抱えている方、けっこう多いんですよね……。
名前が似ているから混同しがちですが、実はこの2つ、働き方も年収も全然違うんです。
今回は、業界で実際に働いている人たちの声も交えながら、どちらがあなたに向いているのかを徹底的に比較していきます。進路選択で迷っている学生さんや、転職を検討している社会人の方にも、きっと参考になるはずです。
まず整理しておきたい、2つの職業の根本的な違い

「インテリア関係の仕事」と一口に言っても、実際にやることは驚くほど違います。まずはそれぞれの特徴を整理してみましょう。
インテリアコーディネーター:「既にあるものを素敵に組み合わせる」仕事
インテリアコーディネーターは、いわば「インテリア界のスタイリスト」。
お客様の要望やライフスタイルをヒアリングして、家具や照明、カーテンなどの既製品を組み合わせ、理想の空間をコーディネートするのがメインの仕事なんです。
具体的には…
- 壁紙や床材の色選び
- 家具の配置やサイズ提案
- 照明器具の選定
- カーテンやクッションなどファブリックの提案
扱うのは主に住宅で、個人のお客様との打ち合わせが中心。住宅メーカーや内装メーカーで働く場合は、自社製品を中心にコーディネートを提案することが多いですね。
インテリアプランナー:「ゼロから空間を設計する」仕事
一方、インテリアプランナーは「空間の設計者」としての色合いが強い職業。
建物の企画段階から関わって、内装や家具のコーディネートだけでなく、建築工事に直接影響する設備やインテリアのプランニングまで行います。
主な業務内容
- 室内空間の企画・設計
- 図面作成
- 工事監理
- 造作家具や建築化照明の設計
対象となる建物も幅広く、住宅はもちろん、大型商業施設や公共施設、ホテル、病院、駅、空港まで手がけることができるんです。
一番の違いは「建築との関わり方」なんです
両者の最も大きな違いは、建築物との関わり方の深さ。
インテリアコーディネーターは、すでに完成した空間に対して既製品を使ってコーディネートを行うのに対し、インテリアプランナーは建物の設計段階から参加し、空間そのものを作り上げていきます。
そのため、インテリアプランナーには建築の知識が必須。実際、インテリアプランナー登録者の約80%が建築士の資格も持っているというデータもあります。
気になる年収と待遇の現実……正直どっちが稼げる?
お金の話って気になりますよね。正直に言うと、どちらも決して高収入とは言えない業界です……。
でも、キャリアの積み方次第では大きく変わってくるので、詳しく見ていきましょう。
インテリアコーディネーター:300万〜450万円が相場
インテリアコーディネーターの平均年収は300万〜450万円程度が一般的。
初年度は300万円前後からスタートすることが多く、経験を積んでも大幅な年収アップは期待しにくいのが現実です。
雇用形態年収目安時給目安正社員300万〜450万円-契約社員240万円前後-派遣社員-1,200円〜1,500円
ただし、フリーランスとして独立すれば話は別。自分でお客様を獲得できるようになれば、年収600万円以上も十分可能なんです。
インテリアプランナー:300万〜800万円と幅が大きい理由
インテリアプランナーの年収は300万〜800万円と、かなり幅があります。
これは、扱う案件の規模や担当する業務範囲によって大きく変わるため。大型施設のプロジェクトを任されるようになると、年収もぐんと上がっていきます。
建築士の資格を併せ持っていると、さらに年収アップの可能性が高まります。設計から監理まで一貫して担当できるため、より責任のある立場に就けるからなんですね。
年収アップのカギは「資格の組み合わせ」にあり
どちらの職業も、複数の資格を取得することで待遇が改善されるケースが多いです。
おすすめの資格組み合わせ
- インテリアコーディネーター + 建築士
- インテリアプランナー + 建築士
- 福祉住環境コーディネーター
- カラーコーディネーター
- キッチンスペシャリスト
資格手当として月数千円〜数万円がプラスされることもあるので、取得する価値は十分ありますよ。
資格取得の難易度比較 あなたはどちらに挑戦する?

「資格って難しいの?」これもよく聞かれる質問ですね。
両者ともに民間資格ですが、難易度や受験条件が異なります。
インテリアコーディネーター資格:合格率22〜25%の現実
公益社団法人インテリア産業協会が認定するインテリアコーディネーター資格。
合格率は毎年22〜25%程度で、なかなかの難関資格です。
試験の特徴
- 一次試験(筆記):マークシート形式、合格率は30%前後
- 二次試験(プレゼン・論文):合格率は60%前後
- 受験資格:年齢・学歴・職業・経験不問(誰でも受験可能)
- 受験料:14,400円(基本タイプ)
年に1回しか試験がないので、しっかりと対策を練って臨む必要があります。勉強時間の目安は300〜350時間程度と言われていますね。
インテリアプランナー資格:建築知識必須で難易度高め
公益財団法人建築技術教育普及センターが認定するインテリアプランナー資格。
建築に関する専門知識が必要なため、インテリアコーディネーターより難易度は高めです。
試験の概要
- 学科試験:建築計画、環境工学、建築構造などが出題範囲
- 設計製図試験:合格率約25%
- 受験資格:満20歳以上
- 登録条件:試験合格 + 実務経験(学歴により年数が変わる)
登録するためには実務経験が必要なので、働きながら資格取得を目指す人が多いのが特徴です。
未経験者がまず目指すべきはどっち?
業界未経験者なら、まずはインテリアコーディネーター資格から挑戦するのがおすすめ。
理由は以下の通り:
- 受験資格に制限がない
- 建築の専門知識がなくても合格可能
- 就職活動でのアピールポイントになる
インテリアプランナーは実務経験が必要なので、まずは業界に入ってから検討する方が現実的ですね。
仕事内容の違いを現場目線で比較してみた
「実際の仕事ってどんな感じなの?」
業界で働く人たちに聞いた、リアルな1日のスケジュールをご紹介します。
コーディネーターの1日:お客様との打ち合わせがメイン
午前中
- お客様との打ち合わせ(ライフスタイルヒアリング)
- ショールームでの商品説明
午後
- 提案資料の作成
- 見積書・発注書の作成
- メーカーとの打ち合わせ
インテリアコーディネーターは、まさに接客業としての側面が強いんです。お客様と直接会って話を聞き、理想を形にしていく過程が仕事の醍醐味。
「ありがとう、素敵になったわ!」なんて言われた日には、本当にやりがいを感じますよね……。
プランナーの1日:図面作成から現場監理まで幅広く
午前中
- CADを使った図面作成
- 設計打ち合わせ(建築士・施工業者と)
午後
- 現場確認・工事監理
- 材料・設備の選定
- プレゼン資料作成
インテリアプランナーは、デスクワークと現場仕事のバランスが取れているのが特徴。図面を描いている時間も長いので、集中して作業するのが好きな人に向いています。
完成した空間を見た時の達成感は、何物にも代えがたいものがあるそうです。
残業や休日出勤……働き方の違いは?
正直なところ、どちらも残業は多めの業界。
インテリアコーディネーターは、お客様の都合に合わせる必要があるため、土日の打ち合わせや夜遅くまでの対応が求められることも。
インテリアプランナーは、工事の進行状況によって現場確認が必要になるため、スケジュール調整が大変な場面もあります。
ただし、最近は働き方改革の影響で、労働環境は改善傾向にあるのも事実。会社選びの際は、労働条件もしっかりチェックしておきたいですね。
あなたの性格にはどちらが向いてる?適性診断
「自分にはどっちが合ってるんだろう?」
性格や志向性から、向き不向きを判断してみましょう。
人とのコミュニケーションが好きなら→コーディネーター
こんな人におすすめ
- 人と話すのが好き
- 相手の気持ちを汲み取るのが得意
- トレンドに敏感
- 細かい事務作業も苦にならない
インテリアコーディネーターは、お客様の要望を聞き出し、それを形にするコミュニケーション能力が何より重要。
「住まい」に対する関心が強く、暮らしやすさを追求したい人にはぴったりの仕事です。
建築や設計に興味があるなら→プランナー
こんな人におすすめ
- 建築や構造に興味がある
- 図面を描くのが好き
- 論理的思考ができる
- スケジュール管理が得意
インテリアプランナーには、美的センスだけでなく、建築の知識と現場を指揮する能力が求められます。
大型プロジェクトに関わりたい、より専門性の高い仕事をしたいという人に向いていますね。
将来の独立を考えているなら……?
フリーランスとして独立しやすいのは、実はインテリアコーディネーター。
個人住宅のコーディネートなら、一人でも十分対応可能だからです。SNSやブログで実績を発信すれば、お客様を獲得することもできます。
インテリアプランナーの場合、大型案件が多いため、チームでの作業が前提。独立するには相当な経験と人脈が必要になります。
就職先と活躍の場を比較 どこで働ける?
就職先によって、仕事内容も大きく変わってきます。
コーディネーター:住宅メーカーやインテリアショップが中心
主な就職先
- 住宅メーカー・工務店
- 家具メーカー・インテリアショップ
- 住宅設備メーカーのショールーム
- リフォーム会社
- 百貨店・ホームセンター
最近は、大型電器店やホームセンターでもリフォーム事業を展開しているので、活躍の場は広がっています。
プランナー:設計事務所や大型施設プロジェクトにも参加
主な就職先
- 建築設計事務所
- 住宅メーカー・建設会社
- インテリア設計・施工会社
- デザイン事務所
設計事務所では、住宅だけでなく商業施設や公共施設の案件にも携わることができます。
フリーランスになりやすいのはどっち?
フリーランスとして独立しやすいのは、インテリアコーディネーター。
理由は:
- 個人で完結できる案件が多い
- 初期投資が少ない
- SNSでの集客がしやすい
インテリアプランナーの場合、建築士とのチーム作業が必要な案件が多く、独立のハードルは高めです。
キャリアアップの道筋 5年後、10年後を見据えて
長期的なキャリアプランも考えておきたいポイントですよね。
コーディネーターからプランナーへのステップアップは可能?
もちろん可能です!
実際、インテリアコーディネーターとして経験を積んでから、インテリアプランナーを目指す人は少なくありません。
ステップアップのパターン:
- インテリアコーディネーター資格取得
- 住宅メーカーや設計事務所で実務経験を積む
- インテリアプランナー資格取得
- 建築士資格も取得してさらにスキルアップ
コーディネーターで培った接客スキルは、プランナーになってからも必ず活かされます。
建築士資格取得で変わる活躍の幅
建築士の資格を持っていると、できることが格段に増えます。
特にインテリアプランナーの場合、建築士資格があることで:
- より大規模な案件を担当できる
- 設計から監理まで一貫して担当可能
- 年収アップの可能性が高まる
建築士の受験には実務経験が必要ですが、早い段階で取得を視野に入れておくことをおすすめします。
業界経験者が語る「こっちを選んでおけばよかった」体験談
コーディネーター経験者の声 「お客様との距離が近くてやりがいはあるけれど、もう少し技術的な仕事もしてみたかった。今度インテリアプランナーの資格も取ろうと思っています」
プランナー経験者の声
「建築の知識が必要で大変だったけど、大型施設の案件に関われるのは本当に面白い。コーディネーターから始めて段階的にステップアップしてくる人も多いですよ」
どちらを選んでも、後から方向転換することは十分可能なので、まずは興味のある方から始めてみるのがいいかもしれませんね。
結論:あなたが目指すべきはどっち?判断のポイント
ここまで読んで、「で、結局どっちがいいの?」と思っている方もいるでしょう。
最終的な判断のポイントをまとめてみました。
まずはコーディネーターから始める3つのメリット
1. 受験資格に制限がない 誰でもチャレンジできるので、業界未経験者でも安心です。
2. 接客スキルが身につく お客様との打ち合わせを通じて、コミュニケーション能力が向上します。
3. 独立しやすい 将来フリーランスとして活動したい人には最適です。
最初からプランナーを目指すべき人の特徴
建築に興味があり、かつ理系的思考ができる人なら、最初からインテリアプランナーを目指すのもあり。
ただし、まずは建築系の学部で学ぶか、建築業界で実務経験を積むことから始める必要があります。
迷った時の最終判断基準
「人と接するのが好き」なら→インテリアコーディネーター 「ものづくりや設計が好き」なら→インテリアプランナー
もし迷っているなら、まずはインテリアコーディネーターから始めることをおすすめします。
理由は:
- 参入障壁が低い
- 業界の全体像を掴みやすい
- 後からプランナーへの転向も可能
どちらを選んでも、インテリア業界は創造性とやりがいに満ちた素晴らしい世界です。あなたの理想のキャリアに向けて、まずは第一歩を踏み出してみてくださいね!
※年収や合格率などのデータは、公益社団法人インテリア産業協会および公益財団法人建築技術教育普及センターの公表データを参考にしています(2024年時点)。